花と埋めて

息を吹き返した亡骸にどれだけ口吻けても
ぼくらはまだ魔物になれない
どんなに濡れてもよごせない惨めな指先が
沈んでいく色の波に溺れるばかりで
耳鳴りみたいだ
このいたみはどこまでも優しいのに

目を閉じるな
無実な花の甘さに狂うなら

弔いは終えた
間違った方法であざやかに
花の降る夜に月が裂けても
ぼくらはなにも思い出さないだろうね
ぼくらはなにも忘れないだろうね

さいごに見たものはなんだった
おしえて
痛みをおぼえているうちに
おしえて
出口を見つけてしまうまえに