透明なてのひら
よごれつづけたこの目がいまさら
君を求めて泣くだなんてね
ひずんだ夜の片隅で
月が見えないことに気づいたよ
望んだ分だけ失うことに慣れていた
捨てられたものは二度と思い出せなかった
抉れた腕の先に続くのは宝石ではないと知っていた
赦してくれるものはなにもない
手のひらに走る幾つもの線はみんな途中で見えなくなった
『あの鳥が雲を貫くまで』
呼吸をやめた花に乗せる声を選んでは
君と交わしたさよならをもう一度思い出している