北へ

ほどけていく指先のようにきみが膝を折った
その心臓は未だ死んでいない

どんなふうに泣こうか迷えるのなら
いつか聞かせた歌のひとつでも思い出してみせてご覧よ
割れるように空がいななく
こぼれ落ちる欠片
だれもが生きることをやめた海の潮騒

跪くきみへ
さしのべるこの手が完璧なひかりじゃないのなら
ぼくらはまだいくらでも
北を目指せると思えるんだ