スラム街のアリア
軽く平らげたその優しさを
味わうわけでもなく
チューインガムに含ませたため息を
君は静かに割った
握りしめた青い破片で
崩れ落ちそうな街を覗く
染められた景色は深海
「みんなおぼれるよ」って笑った君と
真っ暗な朝がくるのを待った
そんな
夢に見た景色
いつかスラムの路上で見た
絵画の一つのように
それぞれの色で交わることを望んだ
虹よりも甘美な輝きで
君は堕胎した小さな胎児
無垢な微笑みで人をころす
その手が愛撫するのは
足の無い猫か
両刃のナイフか
善と悪を行き来する慕情
従順な正しささえ歪んでいた街
信じられるのは自分じゃない
太陽の私刑
君の血
そんな
絶望的な希望さえ
舐め回せたなら君を許すよ