凍る血

溢れ出した吐瀉物に混じって、
あなたの名前も流れてゆくようでした。



きっと信じていたはず。
傷付け合うことの無意味さを。
互いの痛みを。



蛇口から流れる水の騒音と共に、
排水溝に吸い込まれてゆくあなたの名前から、
わたしはゆっくりと目を逸らし、
左手首の傷にふれたのです。